アトピーを診てもらったわけではないのですが、最近皮膚科へ行ったらデュピクセントをすすめられました。
一見して、”最重症とまではいかないけれども、相当に重症” と診断されたためです。いろいろと検査をしなくても、見た目で十分に適応らしいです。あるいは、その病院が適応患者を集めている時期にちょうど重なったのかもしれません。
皮膚科医によれば、 “打ってすぐにかゆみがなくなる人もいるらしい” とのこと。初期費用は数十万円かかるとのことでした。
私は、現時点では、デュピクセントを試す気はないので、「検討してみます」と返事をし、デュピクセントの小冊子をもらって帰ってきました。
脱ステ、脱保湿、運動、温泉の4点セットに、今デュピクセントを加えるかといえば、副作用のリスクが不明なので時期尚早といったところです。
さて、約20年前にタクロリムス外用薬が登場したとき、カルシニューリンの経路を特異的に阻害する薬として副作用が少ないことが喧伝されましたが、市販後に酒さ様皮膚炎、いわゆる顔面のリバウンド様症状が副作用として添付文書に追記されました。
タクロリムス外用薬により症状をコントロールできる患者がいる一方で、苦痛の大きい副作用にみまわれる患者もいたのです。
IL-4およびIL-13を特異的に阻害するデュピルマブ(デュピクセント)はどうでしょうか。
ステロイド内服・外用薬やタクロリムス外用薬、シクロスポリン内服薬等で一度痛い目にあっている患者は、私のように様子見をしている人が少なくないと思います。
デュピクセントが発売されたのは4月。徐々に処方する施設が増え、6月~7月あたりに最初の処方を受けた患者が多いのではないかと推測します。
ここで、今後の動向を予測してみます。
デュピクセントの最適使用推進ガイドラインによれば、投与開始後16週までに治療反応が得られない場合は投与を中止することとされています。まったくの推測ですが、多くの患者は治療を継続できるものと思います。
その後、治療6か月を目安に投与の一時中止等を検討することとされています。すると、2018年末までにデュピクセントを一時中止する患者が出てくるかもしれません。
デュピクセントは、投与中止による急激なリバウンドはないといわれていますが、皮膚炎が再燃してくる可能性は十分に考えられます。
再燃までの期間を数か月とすると、2019年の前半までに再燃し、再投与を受ける患者が出てくるかもしれません。
ここが個人的には注目点です。
まず、一時中止後に再投与を受ける患者がどれだけいるか。その状況から、デュピクセントが対症療法であるかどうかが確認できるでしょう。
また、再投与時にデュピクセントの効果減弱がみられるかどうか。これは、他疾患での抗体医薬の治療において、一部で効果減弱が報告されているからです。
2019年の再投与でも一時中止となった場合、2020年に再々投与の可能性もあります。再々投与など、薬のオンオフを繰り返した場合の効果減弱の有無も気になります。
あるいは、一時中止とならない患者が多くなるのかもしれません。
ところで、日本語および英語でのインターネット上の情報をみていると、デュピクセントで人生が変わるほどに劇的に改善したという報告を少なからず目にします。
しかしながら、その報告は、その人にとってデュピクセントの効果が最も大きい時期における報告なのかもしれません。
ネガティブな情報も少なからずあるのです。
眼や皮膚が乾燥するという人。
ヘルペスが出たという人。
髪の毛が薄くなったり、抜けたという人。
次の2週後の注射まで、効果が続かないという人。
デュピクセント投与中でも、何らかの刺激で悪化してしまう人。
皮膚炎が改善した一方で結膜炎がひどくなり、皮膚をとるか結膜をとるかという二択に迫られる人。
最初の頃は非常に効果がみられたが、数か月後から皮膚炎が再燃してきたという人。
もちろん、上記はネットの情報にすぎないので、真偽はわかりませんし、どこまでデュピクセントと関係があるのかわかりません。
ただ、上記のような事象は、投与開始から半年後くらいまでの比較的短期間に起きているようです。一方で、長期の安全性、とりわけ効果減弱などについては、今後の報告がまたれます。
その他、個人的に気になったネット情報は、デュピクセントが顔にあまり効かないと訴える人たちがいることです。
顔以外の皮膚は良くなったけれども、顔だけがなかなか良くならないという人。さらには、デュピクセント投与後に顔の皮疹が悪化したと訴える人もいました。
アメリカのネット掲示板には、次のような投稿があがっています。
Dupixent Side Effect: Face Flares. Started re-experiencing flares about 4 months into Dupixent. (6 months total.) Derm said face flares may be Dupixent side effect since other users have reported in kind. DM for more info. from eczema
私がいま一番悩まされているのが顔のかゆみと炎症ですから、顔に効かないのなら意味がありませんし、これ以上顔が悪化することは避けたいところです。このあたりも様子見です。
念のため付け加えると、顔も含めて改善したという人もいます。顔に限らず、デュピクセントの効果には個人差があるようです。
以上、デュピクセントについて、多くはないけれども、ネガティブな情報を中心に取り上げました。なぜなら、こうした情報は、現時点の日本では、あまり表に出てこないだろうからです。
数回の投与を経て、薬がキックインし始める時期にあたるのではないかと推測します。
もちろん、どのような情報を抽出し、どう読み解くかは、個人の価値観次第です。当記事は参考程度にとどめてください。